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缶詰博士のコラム「缶詰酒場めぐり」/第2回「東京・銀座 ロックフィッシュ」(その2)

 賞味期限が長く、おいしい缶詰は、飲食店の食材としても優秀。缶詰を上手に使ったメニューを提供する店を本紙論説主幹(缶)・黒川勇人が紹介します。

 名物のオイルサーディンでハイボールを堪能しつつも、もう一品、缶詰のおつまみが食べたくなった。さて何にしよう? 「スコッチエッグも定番ですよ」とバーテンダー間口氏がのたまう。是非もなし。いただきます。

 ここのスコッチエッグは間口氏のオリジナル料理だ。通常はゆで卵を挽き肉で包んで油で揚げるところを、コンビーフで包んで冷やし固めている。だから缶詰料理なのであります。

 コンビーフの表面には炒りゴマがたっぷりまぶしてあって、その香ばしい風味が脂っこいコンビーフをうまく緩和してくれる。こっくりした固ゆでの卵と相まって、またまたハイボールが進んでしまう。

 オリジナルの缶詰料理は25種類ほどあるそうだ。そのうち常に人気なのが、今回いただいているオイルサーディンとスコッチエッグの2種類。ほかには缶詰を使わない料理もあって、材料の仕入れや仕込みの状況で変わっていく。メニュー表は置いていないので(以前はあったが)、好みを伝えてお薦めを出してもらうスタイルがいいと思う。

 間口氏は、基本的には寡黙な人だ。こちらから話しかければ対応するが、自分からはほとんど話しかけてこない。その“放置”具合が、実は心地良い。

 それでいて、ユーモアのセンスも持ち合わせている。ある時、「高倉健っぽいイメージですね」と言ってみたら「自分、違いますから」とすかさず返してきた。これには思わず笑ってしまった。

 店の中にはたくさんの古書がある。銀座で開業してから少しずつ買い足していったそうで、料理や酒、旅、文化に関わるものが多い。これらの本を読みながら飲んでいる一人客も多い。

 間口氏自身も、これまでレシピ本を10冊近く書いている。最新のものは柴田書店から出た「おつまみサンド 銀座・ロックフィッシュ」で、タイトルが表す通り、酒の当てになるサンドイッチ81種が紹介されている(上の画像)。漬け物やフルーツを活用した独創的なアイデアが刺激的だ。

 ロックフィッシュは2002年の開業だから、老舗バーの多い銀座の中では比較的新しい店ではある。しかし、街並みが年々変貌していく今の銀座において、これだけオーセンティックな雰囲気が保たれているのはうれしい。その中に缶詰もしっかりと溶け込んでいるのであります。

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