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アウトドア企業パタゴニアがサバ缶を発売

 アウトドアや登山用品などを取り扱う「パタゴニア」が3月26日、3種類のサバ缶を発売した。アウトドア企業がなぜサバ缶?本紙論説主幹(缶)・黒川勇人が解説する。今回取り上げるのは「パタゴニア」のサバ缶。パタゴニアと言っても南米の地域名じゃなくて、アウトドアメーカーのほうであります。

 同社はペットボトルをリサイクルしてフリースを造った最初のメーカーとして知られている。また、コットン製品をすべてオーガニックコットンに替えたのも世界初だ。ゆえにパタゴニアは環境問題を常に意識している企業と言える。

 そんなパタゴニアには、実は食品事業がある。これまでオーガニック素材のスープやスモークサーモンなどが出ており、この3月にはサバ缶も発売された。

 原料はスペイン北部サントーニャ沖(美食で有名なサン・セバスチャンの近く)のサバ。一般的にサバ漁は網で行うが、このサバ缶は糸と釣り針で釣ったサバを使っている。ここにまず、パタゴニアの哲学がある。網を使った漁は大量の魚が得られるが、狙った魚種以外の魚も混ざってくる(混獲問題)。それに対して伝統的な釣り漁法の場合、混獲はほとんど起こらない。また、網で擦れて魚体が傷むこともないから価値の高い魚になるのであります。

 こうして漁獲されたサバがスペイン国内で缶詰となり、日本ではパタゴニアの子会社である「パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社」(本社=米カリフォルニア州)が販売する。結果としてパタゴニアは、持続可能な漁法を守っている漁業者を支援することになる。また同社は「サバは食物連鎖ピラミッドの下位にあり、個体数も多いから選んだ」とも言っている。絶滅が危惧されるマグロなどは使いたくないということでありましょう。

 さて、肝心のサバ缶はどんなものか見てみよう。基本的に3種ともオリーブオイル漬けになっているが、フレーバーが違う。 「レモンケイパー」はオリーブオイルにレモン、ケイパー、酢を加えた爽やかな風味。「スパニッシュパプリカ」はじっくり加熱した赤ピーマンと玉ねぎ、パプリカなどが入っており、スペイン北部の伝統的な味に仕上がっている。 「ローストガーリック」はにんにく、塩、赤唐辛子のシンプルな味。スペインのにんにくは臭みが少ないのでマイルドでもある。

 価格は3種とも780円(税別)。パタゴニアのオンラインショップで販売している。

 世界的に魚食が増え、水産資源が危機を迎えていると言われる。持続可能な漁業を推進するうえで、今回のような商品には意義があると思う。

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